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空室を「埋める」前に「生まない」発想を

  • 執筆者の写真: 弘瀬 達也
    弘瀬 達也
  • 6 日前
  • 読了時間: 4分




― 賃貸管理会社が押さえておくべき

空室対策の考え方と実務策 ―


賃貸管理会社にとって空室の発生は、単に一部屋が埋まらないという問題にとどまらず、オーナーの信頼低下や自社の収益悪化に直結する重要な経営課題です。

空室対策と聞くと「家賃を下げる」「募集広告を強化する」といった打ち手を思い浮かべがちですが、それはあくまで“空いてしまった後”の対策にすぎません。


本来、空室対策には2つのアプローチがあります。

  • ① そもそも空室を生まない=解約を減らす施策(既存入居者への対応)

  • ② 空室が出た後に速やかに埋める=募集強化施策(新規入居者への対応)

本記事では、この2つの視点から、現場で実行可能な実務的アイデアと留意点を整理します。



① 空室を「生まない」ための解約予防策



注視すべき解約の原因は“立地や設備”よりも“対応への不満”にある

入居者が退去する理由にはさまざまな背景がありますが、転勤や結婚などのライフイベントを除けば、「管理会社への不満」や「住みづらさ」など、対応の質に起因するものが非常に多いのが実態です。


とくに目立つのが以下のようなケースです:

  • 水漏れや騒音などのトラブルに対応してもらえない/反応が遅い

  • クレームを伝えても放置されたように感じる

  • 管理会社と連絡がとりづらい、つながらない

こうした状況が積み重なれば、入居者は“もうここに住み続けたくない”と感じ、退去へとつながります。

クレーム対応は“トラブル処理”ではなく“解約予防の経営施策”



② 空室が出た後に「速やかに埋める」ための募集改善策

すでに空室が発生してしまった場合には、スピード感を持った募集戦略と物件魅力の再構成が求められます。

以下は実務で即時対応しやすい代表的な5つの施策です。



募集条件の見直し(初期費用・家賃など)

  • 敷金・礼金・フリーレントの調整

  • 家賃が相場より高い場合は、周辺競合とのポジション見直し

ただし、単純な値下げはオーナーの利回り低下や、将来的な賃料改定の難しさにつながるリスクもあるため、一時的な戦術としての位置づけが前提です。

設備・共用部の改善(小規模投資でも効果あり)

ターゲット変更・ニーズ対応型募集

 内見率の向上と仲介連携強化

空室要因の見える化とオーナー報告



まとめ:空室対策は“業務の質”と“関係者の信頼”で決まる

空室対策は、単なるマーケティング施策ではありません。入居中の満足度を高めて解約を防ぎ、空室が出たときは戦略的に埋める。この一連の流れを支えるのは、日々の管理業務の質と業務設計の柔軟性です。

  • 解約は“クレーム未対応”が引き金になりやすい

  • オーナーとの信頼は“データと提案力”で築かれる

  • 現場業務は“属人化をなくし、外部も活用して”効率化する

このような視点で空室対策を仕組み化できれば、短期的な稼働率改善だけでなく、管理受託の継続や新規獲得にもつながる長期的な差別化要因となるでしょう。

 
 
 

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